News

2023年04月03日
2023年度 新メンバー加入
2023年03月20日
2022年度 メンバー卒業/修了
2022年12月20日
研究室旅行へ行ってきました。
2022年12月13日
ICN2022 演題発表(於:東京国際フォーラム)
2022年11月22日
2022年度日本食品化学工学会西日本支部 日本栄養・食糧学会九州・沖縄支部合同大会 演題発表(於:鹿児島大学)
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研究室概要

 当研究室では、個体発達と脳高次機能における非必須アミノ酸「L-セリン」の必須性と生理作用機序、および食品タンパク質やそのペプチド類の脳内作用機序を解明し、その成果を脳の健康増進に役立てることを目的としています。主な解析手法は、遺伝子改変疾患モデルおよび栄養介入モデルの行動試験 (マウス個体)、分子発現解析:代謝物解析、タンパク質発現解析、遺伝子発現解析、生細胞内ダイナミズム解析 (培養細胞) です。成果創出を通じて、人々の健康に貢献すべく、日々研究活動に取り組んでいます。

研究内容

L-セリン合成不全マウスの発達不全・高次脳機能障害に係る分子機序の解明

 当研究室は世界で初めて、L-セリン合成遺伝子であるPhgdhを標的破壊し、全身性のKOマウスを作製しました。このマウスはヒト遺伝性セリン合成不全疾患(Neu-Laxova症候群等)のモデル動物に相当し、全身性セリン合成欠損によって胎児期に致死となり、小頭症をはじめとする中枢神経系の重篤な障害および全身の成長遅滞を示します。この結果から、L-セリン生合成が個体発生、特に中枢神経系の形成に必須であることが分かります。さらにPhgdhを脳だけで遺伝子破壊し、生後も生存可能なマウス (脳特異的KOマウス) を作製・解析したところ、脳特異的L-セリン合成不全が重篤な高次脳機能障害を起こすことが明らかになりました。また国際共同研究によってアルツハイマー病や黄斑部毛細血管拡張症などの神経変性疾患にセリン合成不全が関与することも報告しています。そこで本研究課題では、L-セリン合成不全が成熟期の高次脳機能に異常を及ぼすメカニズムを解明することを目的に、脳特異的KOマウスの行動異常とその分子的基盤の解析を進めています。この研究を行うことによって、L-セリン欠乏が関与する脳疾患、特に精神疾患や加齢性神経変性疾患の病態との関わりや新規な予防治療法確立への貢献を目指しています。

L-セリン欠乏によってマウス個体及び細胞が致死に至る分子機序の解明

 上述の全身性L-セリン合成不全マウスは胎生致死となります。その組織から不死化細胞 (Phgdh欠損マウス胚線維芽細胞; KO-MEF) を樹立し、セリン欠乏に対する細胞応答の解析を進めています。この細胞は、L-セリン制限条件で維持すると細胞増殖が停止して細胞死に至ります。そのため、遺伝性セリン合成不全疾患(Neu-Laxova症候群等)の細胞レベルでのモデルに相当すると考えられます。そこで本研究課題では、L-セリン欠乏時に細胞に起こる様々な変化を、分子(遺伝子、タンパク質、代謝物)および細胞形態レベルで解析を行っています。L-セリン生合成が寄与する生理機能を細胞レベルで解明し、さらにその欠乏を原因とする様々疾患の病態機序の理解やその治療法確立に貢献すること目指しています。

発達期タンパク質制限が統合失調症様行動異常を示す分子機序の解明

 ヒトが胎児から新生児に飢餓・低栄養状態に晒されると、成人期の統合失調症発症リスクが高まることが報告されています。そして栄養素の中でも特に「タンパク質」の不足が、成熟期の統合失調症に似た行動を誘発することがラットを用いた動物実験から明らかになっています。しかし、その背景にあるメカニズムはまだ解明されていません。そこで本テーマでは、発達期 (胎児期~新生児期) のタンパク質不足が成熟期の精神疾患発症リスクを高めるメカニズムを解明することを目的としています。発達期のタンパク質摂取量を制限し、そのマウスの行動や脳組織を解析しています。統合失調症を始めとする精神疾患の病態理解や発症予防法の確立を目指して研究を進めています。

大豆ペプチドが脳機能改善効果を示す分子機序の解明

 近年、健康意識の高まりとともに、食品成分の持つ健康増進作用に注目が集まっています。特に当研究室では、炎症抑制作用や認知機能改善作用などを持つ、大豆ペプチドに着目して研究を進めています。これまでに我々は、大豆ペプチドを急性投与することで、血中及び脳内で非必須アミノ酸であるチロシンが顕著に増加し、同時に神経伝達物質の一種であるノルアドレナリンの代謝亢進を導くことを明らかにしてきました。しかし、継続的な大豆ペプチド摂取による脳内作用に関しては、未だ十分に理解されていません。そこで我々は、大豆ペプチドを摂取させたマウスの行動や脳内分子発現解析を行うことで、脳の健康増進作用のメカニズムの解明を試みています。この研究により、脳機能の維持・改善に役立つような食品の開発に貢献することを目指しています。

大学院生募集

当研究室では大学院生を募集しています。学内・学外に関わらず、当研究室に興味を抱いて下さった方はお気軽にお問い合わせください。


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