Synthetic Biology Lab

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研究内容

大腸菌代謝系の数理解析

大腸菌の代謝経路の全容が解明されつつあり、代謝物の運搬ルート(代謝マップ)がおおよそ特定されました。次の課題として、このマップを基に代謝物を要領よく目的地まで届ける技術の開発が求められています。これを実現するには、マップ内の速度分布、経路幅、乗り換え効率などの様々な制約の定量的な解析が必要となります。本研究では、WinBEST-KIT(http://www.winbest-kit.org/)を用いてマップを参考に代謝ネットワークをコンピュータ上に展開し、ネットワーク上の種々の生化学反応過程に酵素反応速度論を適用した大腸菌の代謝シミュレータを開発しています。具体的には、代謝物濃度の経時変化の実験データを基にキネティックパラメータ値を決定し、条件の異なる培養データを用いて代謝ネットワークの動特性の理解を深め、連続培養だけでなく回分培養にも対応した数理解析システムの構築を目指しています。大腸菌の高効率な物質生産の実現において、この数理解析システムは代謝系の制御方策の検討ならびに新奇代謝経路の設計に役立ち、合成代謝ネットワークの開発に大きく貢献すると期待されています。